手を繋いでるではないですかっ!!?


ななななっなんなんだーッ!!?



夕陽は一気に真っ赤になってしまった。


バレ無いように手を繋いだまま一歩後ろを歩いていった。


うわぁぁっどうしよぉっ!!



夕焼け空の一本道。



2人は何も話さず歩いて行く。



繋がった手は冬の寒さも飛ばしてしまいそうに、あっついっ…


何考えてるのよぉっ


夕陽の真っ赤な顔は夕焼けの橙に溶けて綺麗なオレンジ色になっていた。


ドキドキ…ドキドキ…


この心臓は、大斗が読めない行動するからだっ


空が暗くなるまで大斗は振り返ることなく只ひたすら進んで行った。


『着いた』

昼とは違う小さな神社


大斗は一言言うと同時に夕陽を前に引っ張り

『今度はお前が俺の思い出塗り替えろ』

前を見たまま言った。


あたし、拓ちゃんの思い出塗り替えるって…

前にカフェに大斗を連れていったっけ…


そうして、大斗は繋いでいた手を離して、

その手で夕陽の頭をポンッと一度軽く叩いた。


『大斗の…思い出?』

『そう。昔ここで咲と肝試しした』

夕陽を見ながら片眉下げて小さく笑った。


―――――


「オバケが怖くて」

「オバケと間違えて…神社で一般市民やっつけた…」


―――――


あの時の…


『あっ!!うん!!行こう!!』


思わず大きな声を出してしまった。


月の光が夕陽の顔を照らす。

今度はその笑顔が月夜に溶けていく。


大斗も合わせて柔らかく笑っていた。


夜に差し掛かった小さな神社は周りに人は余りいない。

お正月らしい桃燈に彩られ、もうほとんど閉まってしまった屋台が数軒あるだけだった。


『おい!俺、たこ焼き食いたい』

少し駆け出す夕陽に大斗は言った。

一軒だけまだ開いている屋台を見つけたのだ。

『うん♪行こう♪』

夕陽はそのまま屋台へ走り出す。


『おじさーん♪たこ焼き下さい!!』


叫ぶ夕陽の後を歩いていく大斗は「ガキ…」と呟いて微笑む。