午前授業なので、帰る支度をしていると、携帯が鳴る
〜♪〜♪〜♪〜
〈夕陽ちゃん?暇ぁ?〉
着信は太一、1ヶ月くらい前に夕陽の友達と遊んでいた彼と出会った。
たまに電話が来るので、ご飯を食べたりする仲だった。
『いいよ。遊ぼう』
待ち合わせ場所を決めると夕陽は電話を切った。
そして、南深達にバイバイすると街に出かけて行く。
結局毎日ここに来る。
良く拓けた場所だなぁ。
遊びに出るにはベストの所。
『夕陽ちゃーん!!』
太一は小走りで近づき夕陽を呼ぶ。
『ご飯食べよう』
待ち合わせ場所から近かった為、昨日行ったファミレスにまた行くことになった。
夕陽は、なんとなく大斗が食べていたハンバーグを注文した。
『彼氏と別れたの?じゃぁさ、俺と付き合わない?』
朝、恭次が冗談で言ったのとは違う感じだが、やっぱりリアリティーは無い。
夕陽は窓から外を眺めて少し考えてから抑揚なく言った。
『いいよー』
別に良いと思ったので、そう答えた。
別にいー
どうでもいー
夕陽は自分からそういう人に「付き合って」とは言わない。
けれど相手に言われたら大概は拒まなかった。
「別に良いか」本当にそれぐらいの気持ちだった。
こうして、また「彼氏」ができたのだ。
彼の事は別に好きではないけど、嫌いでもない。
太一君もあたしの事、そんな感じなんだろうなぁ
窓の外を眺めながら、そんな事をぼーと考えていた。
これで、家に帰らなくて済む。
独りの時間が減る…。
夕陽の理由は、ただ…それだけだった。
太一は苺フェアには見向きもしい。
テーブルの隅でサイドメニューが「自分を見て」と主張している気がする。
ねぇ…"あたし"の存在を感じて…
――――――
『夕陽ちゃん可愛いね』
ファミレスを出た後は当然のようにホテルに行く。
そして…当然のように肌を重ねるのだった。