『それって…』
恭次は何にも言えなくなってしまった。
そのせいで部屋がメチャクチャだということに察しが付いたからだ…
恭次は普段大斗に特に深く物事を聞くことはないが、今までの付き合いの中で、大斗と咲の繋がりが特別なものだという事はわかっていた。
『俺、昔みたいに、お前が行方不明になったかと思ったよ…頼むよマジで…』
恭次は困った顔で語りかける。
『しねぇよ…。それにあれはかわいいプチ家出だ。わりぃ…今回は夕陽と、咲…見送り行ってた…』
窓から遠くを見て話す大斗に、恭次はもう一つため息を付くと、気を取り直して明るく言った。
『―…よし!!大斗、鍋しよう!!』
『あー…?』
『明日ね♪俺と南深んち誰もいなくなる♪』
『あー…』
大斗は力なく答えていた。
――――――――
あぁ…よく寝た…
同じ頃、夕陽は暢気に目を覚ました。
あっ…携帯の存在忘れてた…
ぼーっと充電にかけて電源を入れる。
すると、南深から留守電やらメールが大量に着ていた。
〈戸塚君から連絡もらったんだけど…何かあったの?〉
全てそのような内容。
夕陽は慌てて南深に連絡した。
〈ひいちゃん!!?〉
『ごめん…南深…』
〈さっき恭次が神崎くんの所に行ったから少し聞いたよ。大丈夫?〉
『大丈夫…ってゆうか…あたしは別になんともないんだけど…そうだっ!!戸塚君?!』
〈心配してたよ?!連絡してみて。番号教えるから…。後、明日恭次ん家でみんなで遊ぶからって伝言だよ…〉
きっと…恭次くんが、大斗の為に…
南深はあまり深くは聞かずに雅の携帯を言うと電話を切った。
戸塚君…そうだ…
あたし…カラオケ飛び出してたんだった…
夕陽は急いで雅に電話をかけた。
〈片桐さん?大丈夫?〉
『ごめん…心配かけちゃったね…』
〈こっちこそ、恭次に電話したりして、ちょっと騒いじゃったから…ごめん〉
『うううん…いいの。あたしがいけない…。大斗の大事な人が…あたしも知り合いなんだけど、急に外国行くって聞いて慌てて見送りに行ったの…』