『おー!!神崎と片桐!!やっと来たか?!ちゃんとこいよ学校』

先生は早速授業を始めた。

わざとらしく、夕陽や大斗よく当てる。


しかし大斗はサラサラ問題に答えていく。



絶対見えないのに頭がいいのかしら?ちょっと以外。


夕陽は数学が一番嫌いな教科だった。


だから基本的に何にも分かるはずはない。


しかし大斗が詰まる度にこっそり答えを教えてくれた。


あたし情けない…

それにしても、神崎君は良く分からない人…。


授業が終わると大斗の周りに集まる人たち。

必然的に夕陽の周りにも集まる。


あたし、緊張するーっ


大斗は話しかけられたらサラリと答える。

そして、たまに夕陽に話を振る。


ドキマギして答える彼女に聞こえた「変な女〜」という彼の声。

もちろん周りには聞こえないように夕陽にだけわかるように言う。


くやしいっ!!

でも…話かけてくれるのは、神崎君の気遣い…かな?


『ひぃちゃん、ってあたしも呼んでいい?』


南深が言う。


半袖Yシャツの下に長袖のボーダーシャツ。


個性的に着る制服が彼女の可愛らしさを引き立てる。


友達つくろう あたし。


『あたしもね、ひーちゃん』

杏が続ける。


大人っぽい彼女はサラリと言って綺麗に笑う。

杏はバンドみたいにして歌を歌っているそうだ。


少しずつみんなと話ができたのでホッとひと安心している夕陽に


『よかったねー』


彼女の心を読んだのか、大斗は肩をポンっと叩いて教室を出ていった。


夕陽は一気に顔が赤くなってしまう。



4時間目が終わるとすぐ大斗の姿は消えていた。


夕陽達の席は窓側、ちょうど窓から門に向かう大斗が見えた。



門の前には赤い車。


きっと「咲さん」だよね。


車に乗り込むと大斗はどこかへ行ってしまった。