――

駄目だ…

このまま夕陽を抱いてしまいたい…

咲じゃなくて、他の誰かでもなくて…


夕陽を抱きたい…

もっと触れさせて欲しい…

その温もりに…


夕陽の…その温かさが…

俺をおかしくさせる…



バッ!!



――

その瞬間、あたしの身体は宙に浮いた…


寝かされた状態から一気に引き上げられ、抱き上げられて、

大斗の上に座らせられた。


それから、あたしの頭の後ろを押さえた大斗は

静かに自分の元に引き寄せる…


そして…




強く…強く…




キスをされた。




深く、深く…




キスをされた…



今までと違う、唇が触れるだけのキスではなかった。



唇と舌から熱が伝う…


あたしの熱…?


大斗の熱…?


無意識にキスに応えていた。


温かい…


暫くすると、また力強く抱き締められて、肩には大斗の頭が置かれた…


『ゆ…う、ひ…』


とても…とても小さな声で、大斗はあたしの名前を呼んだ…



あ…



今…

絶対、大斗は泣いてる…

なぜか確信して思える。


きっと…涙を流して…


あたしは、その顔を絶対見てはいけない…

そう強く思った。


泣いていいよ…

そして新しい一歩を踏み出すの…

大丈夫…大丈夫だよ…

そう思いながら、大斗の背中に腕を回した…


『ゆ…』

『謝…ら、なくていい…、謝る…必要、なんて…なにも…ない』


大斗が言おうとしている言葉を遮った。

「ごめん…」と言おうとしている気がしたから…

悪いことは…何もない…



――

どうしようもなく…

温かい…

キスで…人の温かさは伝わるんだ…

そんな事を今更知った…

俺は今まで何をしていたんだ?

ただのバカだ…



ありがとう…


だから、もう少し…抱き締めさせて…


言葉の代わりに腕の力を強くした…