酷く哀しい顔…


『どういう事ですか?』

『大斗は自分の道を見つけてる…あたしも、見つけなきゃ。自分で歩かなきゃ』


咲さんの頬を伝う涙が夜空に混ざっていく…


『これは、あたし達しかわからない…』


涙が、キラキラ…

ネオンに混ざっていく…


『それに…この4年間…あたしは…大斗から、あたしが欲しかった…たった一つのモノを手に入れられなかった…』

『ど、どういうこと?』


涙が止まらない…。


『大斗が言ったわ。恭次くんや夕陽ちゃんに会った時に「咲に見せたいヤツがいるんだ」って嬉しそうに』

『えっ?』

『あんなに人と関わらないアイツが。だから4月の時、夕陽ちゃんに会ってみたかったの』


咲さんの笑顔に吸い込まれる…

癒される笑顔…


『夕陽ちゃんなら…大斗を変えられるかもしれない…アイツに命を入れられるかもしれない…』

『咲さん!!』


そうして見つめた咲さんは…

やっぱり綺麗に笑っていた。


『アイツはまだ何も気付いていない…それは、人に言われたんじゃなくて…自分で気付かなくちゃいけない…時間がかかるかもしれないけど…』


夜の闇にも街のネオンのキラメキにも負けない綺麗な人。



『あたしが大斗を幸せにする為には、あたしが自分の力で幸せにならなきゃいけくない。大斗も一緒。』


咲さんはそんな人…


『それがあたしの心…心の底…願いなの…』


そうして、あたしは咲さんの瞳に射抜かれた・・・。



『夕陽ちゃんなりで、いいから…大斗の事…頼むね…』