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『片桐さーん!!』

駅前には体育祭を一緒にやった仲間達が数人。

雅が駆けてくる夕陽に気付いて手を振った。


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『今度はあたしが運転♪』

『この酔っぱらい!!』

大斗は咲を小突く。

『いーの!!どっちが運転しても最早飲酒よ♪』

『はいはい』


『大斗ぉー楽しいねぇ♪』

大斗は"そうだね"と言う代わりに微笑んだ。


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『次はここー♪』

テンション高い咲はバイクを降りて大斗の手を引く。


『って俺んちかよ…』

『うん♪開けてぇ♪』

『はいはい』

大斗が家の鍵を取り出すと、咲はそれを奪ってドアを開ける。


『ビール♪ビール♪』


彼女は部屋に入ると一瞬冷蔵庫を見つめてから扉を開けるとビールを2本取り出した。


『相変わらずビールしかないね♪』

『まーね♪これがなくちゃ生きていけない。』


『知ってる。アンタ、家のモン全部壊してもコレだけは壊さなかったよね?』


そう言って1つの缶を大斗に渡し

大斗があぐらで座る上にちょこんと腰かけた。


『かんぱぁぃ』

『乾杯』


同時に大斗の腕が咲を包み込む。


『結局、こうして呑むビールが一番おいしぃね?』


そう言って、咲は大斗のその腕をぎゅっと握る。


すると

咲の甘い香りが大斗の顔を掠めた。


咲はそっと身体を大斗に向けて、

腕を彼の首に回す…


『大斗…あんたはいつも暖かい…』


大斗は咲を抱き締める手に力を込めて、片手で頭を撫でた。


『あたし、あんたの胸に居る時が一番心地良いよ…』


『知ってる…』


大斗はそう言うと咲を抱き上げる。


『あたしのサンタは大斗なんだよ…』

大斗は小さく笑う。