コイツ…マジで可愛くねぇっ!
『でも今から教室行くのも面倒だし、ここ気持ちいいからしばらくいるー』
そう言って夕陽はにこにこと柵の方へ。
風が夕陽の髪の毛を踊らし瞳を細める姿は本当に気持ちが良さそうだ。
ま、いっか。
『俺の屋上なんだけど』
背中に向かって大斗が言うと、無言で「何言ってるの?という顔で振り返る彼女。
やっぱおもしれー女。
俺の前で可愛い子ぶろうなんてしないらしい。
そんな中
『あらー?ひろくん♪俺には何だかんだ言いながら自分も告られちゅうー?』
後ろから明るい声がするので2人は振り返る。
そこには大斗とは違う雰囲気だが、顔の整った男の子が立っていた。
『あれぇー?!大斗は学校同じ子とは付き合わないんじゃないの?だから、おねいさん俺にしない?』
さらりと言って缶コーヒーを夕陽に差し出す。
見るからに彼は軽そうだ。
誰この人??
実際その通りだった。
大斗は来るもの拒まずだが、彼は自分から行く。
もちろん来るものも拒まない。
人なつっこいフワフワの犬みたいな男の子。
『コーヒーこの子にあげちゃったから大斗のないよー』
ったく全く調子イイやつだ。しょうがねぇやつ。
ちょっと可愛いコがいるとすぐこうなる。
可愛いコにはすこぶる優しい。
大斗はポカンと見ている夕陽に
『コイツは田附恭次(タヅケキョウジ)中学から一緒。隣の1組』
と紹介する。
『恭次でーす。大斗とは悪友でね、よろしく。あなたは誰さん?』
恭次は、にっこり夕陽に聞いてきた。
『片桐夕陽です♪』
夕陽はもらった缶コーヒーを両手で持ったまま、にっこり返す。
『よろしく、ひぃちゃん♪』
手を差し出す恭次。
いきなり「ひぃちゃん」か。
か…軽い