この気持ちは一体なんなんだろう…
この喉に何か引っ掛かっているモノは何なんだろう?
結局、大斗の腕を振り切って帰ってきてしまった。
いつの間にか降りだした粉雪を被りながら猛ダッシュで適当にタクシーに乗った。
窓の外の雪と煌めく街の光が涙で滲んでいた。
切ない…
車の中は暖かいはずなのに、凍えるように身体が冷たいのは何でだろう?
大斗の悲しそうな顔が頭から離れない。
たぶん…
あたしは…
とても酷い事を言ってしまったと…思う。
本当は、検討がつくんだ…。
本能的に行動する大斗のその理由…
自分と向き合うのも…
人と向き合うのも…
大斗は怖いんだ…
「思ったまま。理由なんてない」と言うことで…
本当の気持ちを隠している。
小さな頃に心に傷を負った大斗が、自分を護るためにしてきたこと…
周りとの…関わり方だって…そうだ…
人に本心を見せない事で…
自分を隠す事で…
自らを保っている…
誰よりも人の心に敏感な大斗が、自分の事をわからないはずがない。
一番近くに居る咲さんの事がわからないはずがない。
何かを感じてるけど…
きっと…
それを見ないようにしているだけ…
自分で、自分を見ないでいる、だけ…
だって大斗は強くない。
あたし…
謝らなきゃ…