『ひろ…』

『神崎?!片桐さん?!』

夕陽の言葉は突然2人を呼ぶ声に遮られてしまった。


へっ…?


『あ!!えっ!!戸塚君?!』

『こんばんは♪』

2人の前に男の子がやって来た。


『こんばんは♪』

夕陽が笑いかける。

『誰?』

と素っ気ない大斗。


『もぅ!!バカ!!隣のクラスの戸塚雅(トツカマサ)君だよ!!』

『…―知らん。』

とサラリ。


『ごめんね、戸塚君。大斗ったらアホだから』

夕陽は気まずそうに笑った。

『いや…あんま話した事ないしね…』

とほほ…と雅は軽く項垂れる。

『体育祭一緒にやったじゃないの?!』



全く…失礼な大斗…


夕陽は呆れ顔。

『どうしたの?こんなとこで?』

明るく言う夕陽の問いに大斗は「こんなとこって何だよ?!」と何やらブツブツ言っている。

『兄貴に連れてこられて初めて来たんだ。』

『そうなんだ♪偶然だね』


何か学校の外で学校の人に会うのって変な感じ。


『ねぇねぇ?2人って仲良いね?付き合ってるの?』

『違うって!!友達だよ。こんなバカと付き合えないわ』

夕陽はキャハハーと笑いながら答えた。

『…―そっか、片桐さん…『まさー?!』

雅は呼ばれて「じゃ!!学校でね?!!」と席に戻っていった。

『誰だ?あれ?』

大斗は雅が居なくなると口を開く。

『もう失礼ね。だから恭次くんのクラスだってば。』

『知らねぇもんは知らねぇー』


平然と答えてるし…もぅ…


『大斗は本当に愛想笑いを抜かしてみたら、全く人と関わろうとしないよね…?』

『文句あるか?!面倒なんだしょうがねぇだろ?しっかし、お前はえらい愛想笑いだな。久しぶりに見たぞその作り笑顔』

プププーとバカにして含み笑い。

『うるさいわね?社交辞令でしょう?まぁ大斗さんの営業スマイルには負けますわ』

やれやれと夕陽は言った。