席を立ち上がりながら夕陽は言った。
『今は暫く彼氏もいらない。前みたいにもう好きじゃない人とは付き合わないよ。』
と穏やかに笑った。
『ちゃんと、人を好きになって、喧嘩もできるような人と付き合いたい。』
南深と杏が笑っていた。
『帰ろっか?』
と杏。
『帰ろー♪』
南深も続ける。
外は雪が降りそうな冬の空気。透き通る風…
夕陽の心にその風が通り抜けた。
気持ちいい…
何故だか気持ちがとても晴れ晴れしていた。
南深達と別れた夕陽は携帯を取り出した。
―発信。―
すぐに相手は出た。
〈あぁー?!〉
『もしもしバカ?』
こいつ…電話かけてくんの初めてじゃねぇか…?
しかも…開口一番バカだと?!!
〈店来い〉
ツーツーツー。
えっ…ちょっと…。
あたし文句つけようと電話したのに…
電話相手の大斗は一言言うと電話を勝手に切ってしまった。
店来いって…何かっ気まずっ…
~♪~♪~♪~
―着信。バカ大斗―
わわわっかかってきたし…
夕陽が慌てて電話をとると
〈ゆうひちゃーん!!〉
『咲さん?』
〈咲!!勝手にかけ…っ〈バカが勝手に電話きったから…うゎっとらないで…っ…〈お前に替わったらうるさいだっ…ろっ〉ゆーひちゃん早く来てー♪〉
夕陽はいつかと一緒で携帯を耳から離して何やら叫ぶ画面を見つめていた。
行こっかな…
前あったこと思い出してもしょうがないし…
咲さんにも…会いたい…
咲さん…何か変って今もかなぁ…
〈ゆーひちゃん!!ゆーひちゃん?聞こえる??!!ちょっと?電話壊れたんじゃないっ?〉バンッ!!!〉おいっ!!叩くなー!!〉
何だか笑えてきて、まだ叫び声をあげている携帯を勝手に切った夕陽はスイートブルーに向かって歩き出した。