結局、大斗が咲さんに連絡することはなかった。

なんとなく、あたしの前でするのを躊躇ってた気もした…。


『送ってく』

『うん…』

夕陽は、すぐに大斗に送ってもらって家に帰った。

大斗がその後どうしたかは彼女は知らない。


――――


咲さんの事を話す大斗の顔が…

声が…すごく…


あたしは…

とても切なくなった。


2人に出会ってから何ヵ月も経つのに、

2人の関係が謎なのは始めの頃から変わらない。


それに…

大斗は咲さんが好きなはずなのに…

あたしはずっとそう思っているのに…

当の本人は自分で全く気付いてないのかな…?


それとも…

あたしが大斗の気持ち、わからないだけで

大斗にしたら「好き」にはならないのかなぁ…

わかんないや…


そもそも、あたしだって本当の「好き」ってわかってるんだろうか…?

拓ちゃんのこと「大好き」だって思うけど、結局別れになってしまった…


「好き」ってなんだろう?

わかってるかのように大斗に言ってしまったけど…

なんだか、あたしも、よくわからなくなってきちゃった…


ただ…

やっぱり咲さんを想って話す大斗のあの顔が

頭から離れないよ。