『バカヤロウ!!すぐ暴力止めろよバカ!!』

大斗はそう言うと枕を投げ返した。

ボスッと夕陽の顔面に当たる。


『バカひろとぉぉおおー!!』

夕陽が再び投げ返すのをスルリと避けて、

『そう言えば、俺熱で死んでてすっかり忘れてたけど…スイートブルーで咲達と誕生会するって言ってたのに、連絡なかったなぁ…』

ヒョウヒョウと思い出したように言う。


『ねぇ?大斗…あんたの携帯、昨日の夜にあたしと話し中に電源切れたんだけど…今日いつまでそのままだったの?』

大斗は夕陽の言葉を遮って

『げっ…コレもしかして留守電のマーク?』

と携帯画面を見て呟いた。

『歳いくつよ!!』


携帯使えてないし…ブハッ!!


夕陽は爆笑する。

大斗は何を思ったのか、ヤバイという顔をして恐る恐る留守電につなぐ…


[留守録1件]

ピッ…


メッセージに接続した瞬間、大斗はバッと耳から携帯を離す。

すると電話が叫び声を上げた!!

〈…―っ!!バカひろとぉぉぉーっ!!何してんのよーっっ!!留守電だなんていい度胸だっ!!!ツーツーツー〉

スピーカーにしなくても聞こえる咲の大声…


『さ、咲さん…?』

『こりゃ会ったら確実に殺されるな…』

ふーっとため息つく。


『で、でも…熱だったんだし…とりあえず連絡してみなよ…?』

夕陽は恐る恐る大斗を見るが彼は携帯を閉じると

『いーよ…咲もう仕事』

無表情で何を思っているのかわからなかった。

『でも…』


何か連絡一本くらい…


『あいつ、最近何か変なんだ…。よくぼーっとしてると思ったら急に酒バカ呑みしだしたり…』

『へ…?』

『最近…前のお前みたい。何か言いたいことあるのに言わねえ』

『え…?』

『お前の場合は考えてること見え見えだけど、あいつの場合は、いまいちわかんねぇ。そこは夕陽と違うけど。』


そう言ってあたしの視界に映る大斗はとても寂しそうだった。


『はっきりしてない咲は咲じゃないみたいだ。』


大斗は「困ったな」って苦笑いしていた。