『だから…だからね、大丈夫。絶対に大丈夫。今のままでいれば平気…だよ…?』

『―…』

『か…確信ないけど…』


ブハッ!!


夕陽の最後の言葉に大斗は吹き出した。

『アハハーッ!!本当にお前はバカだよなぁ?普通励ましてる途中に自信なくすかよ?絶対とか言うクセに、説得力ねーっ!!』

『だって…』

『でも…』

本当なら続きに言葉が紡がれるのを自ら遮り、大斗は煙草を点けて煙を吐き出した…


あたしは…

この時、大斗が口に出さなかったけど…

"ありがとう"って言ってた気がしてしまった。

勝手にそう思ってしまった。


『どういたしまして…』

『何だよ、ソレ。お前やっぱ最近思うこと言うようになったよな?』

小さく笑って、大斗は煙を瞳で追いながら言った。


『え?』

『前は今の半分も口に出さなかったぞ?』

『…―』

黙り込む夕陽に、大斗は悪戯っぽい顔で

『あは。今気付いたけど、お前16歳になる瞬間、俺と迎えちゃったね♪』

とサラリと言って夕陽の座るベットの横にしゃがみ込んだ。


えっ…いっっ


『いやぁぁぁああっ!!』

夕陽はまた大声を上げる。


『はぁ?だからうるせぇんだよ?!テメェ…マジで腹立つ。世の中に誕生日を俺と迎えたいヤツいっぱいいるんだぞ?』

『はぁああっ?だから前から言ってるでしょ?世の中全てが大斗の信者じゃないって』

「やれやれ」と夕陽は呟く。


『本当、お前面白いヤツ』

そう言う大斗は満足そうな顔をしていた。


『と…ところで、あんたあたしに…ななな、何もしてないわよねぇ…?』


いきなりキスする大斗…

ま、まさか…


『おまえさぁ、俺が寝込みを襲うほど不自由してると思うわけ?』


はっ??!


『まぁナンシーだったら欲情したかもなぁ♪』

悪戯顔で笑って言った。


ムカツクッ!!


『色気がなくて悪かったわね!!』

そう言って夕陽は枕を投げつけた。