スウェットを脱いだ大斗の身体。

脇腹…

刺された傷痕がはっきりと残っている。

『俺の秘密♪』

「ね♪」と呑気に言ってベットから降りると新しい服に着替えだした。

夕陽は唖然とその背中を見つめていた。

『けっこーちゃんと残っちゃうんだよね…』

大斗は背中を向けたまま呟く。

『見たこたとあるのは…咲と恭次とお前だけ…』

『えっ?』


そう言えば…

「どうして、服脱がないの?」って…

エッチの時にって…

いつか…誰かが、言ってたような…

なんだか…

物凄く複雑な気持ち…


『ひろとぉー…?』

『んー?』

夕陽は大騒ぎしていた事も忘れて思わず声をかけていた。

『痛い…?』

『アホ痛かったに決まってるだろ?!ありゃ死にかけるわ』

やれやれと答える大斗に

『ち、違うよっ!!昔じゃなくて…今だよ!!…今も…』


今も…その傷跡が大斗を痛みつけるの…?


夕陽は小さな声で語りかけた。

大斗は何も言わない。


あたし…

心臓が締め付けられる…

あたし…胸が…

すごく…

痛い…


『ねぇ…?大斗…?きっと、いつかちゃんと誰かを好きだって思える時、来るよ…』


あたしは何をいきなり言ってんだろう…


『なんだよ突然…』


でも…なんだか…思うの…。

今の大斗を見てると…


『ねぇ…?誰かを…好きになるってさ…その人とずっと居たいって、会いたいって思ったり…』


あのね…

あのね…


『嬉しい事とか嫌な事とか一番に話したいって…もっと色々あるけど、だけどそんな事だと思うの…。』


伝えなちゃ…


『きっといつか大斗も判れる気持ちだよ…』


うまく言えないけれど…

この胸を締め付けてる想いを伝えたいの…


『んー…』

『だって…大斗の心臓は動いてる。時間は動いてる…から…』

『うん…』


小さく呟く大斗の背中…

すごく悲しそうで…

辛そうで…

泣いてるみたいなんだもん…