『なーにぃ??』

大斗に呼ばれ背を向けたまま答える。

『やる!』


ゴッツンッ!!


夕陽の背中に何かを投げつけた。

『痛ったぁっ!!!』

彼女は「か、っ…角…がッ!!」と振り向いて自分に当たった何かを拾う。


『…何?』


『箱』

ブーッ!!と大斗は自分で言ったことに吹き出した。


包装紙に包まれているのは明らかにプレゼント。

『へっ…?』

すっごい間抜けな呟き。

『お前、バカだろ?』


大斗は苦笑いして…


『おめでとう。16歳』


と静かに笑った。


!!


『あっぁーっッ…!!』

夕陽は慌てて携帯を開き日付を確認する。


『うそっ今日…あたし…誕生日だ…。なななんでっ知ってるの??』

『言わない♪』

大斗は嬉しそうに言う。


『待って待って待って!!』

夕陽を見た大斗、あははーっと爆笑する。

『ちょーっ間抜けな顔!!あーっウケるっ!!忘れてるしっ!!』

『い、いじわるっ!!』

真っ赤な顔で包装を解いていく…


ドキドキ… ドキドキ…


あたしのメチャメチャ爆音で打つ心臓の音は、大斗の笑い声で自分には聞こえなかった。


パコ


『…―ぁっ!』

箱の中身を見つめ絶句。


『これ…』


お財布…


箱の中身はブランド物のピンクの財布。


『思い出、塗り替えるんだろ??』

大斗は満足気に言った。

『え…』

『俺、色んな事知らないけど、ブランドとか詳しいのん♪』

とにっこり。

『咲ん家なんて、貰いモンだっつて、そんなのばっかだしね♪』

『ひ、ろと…』

『高い…のに…』

『俺を誰だと思ってんだ?!』

なぜだか自信満々に大斗は答える。

『でも…何で…?』

『昔見たじゃん。生徒証。』


ヤバイ…泣きそう…


『お、覚えて…たの?』


初めて会った時…お財布拾ってくれた日…


『俺、暗記力いーから♪』

『―…ゔ~っっ』

その場で直立して泣き出す。