部屋には大斗の寝息と、
涙を止めようとする夕陽のすすり泣きの声…
そして
夕陽にだけ聞こえるドキドキと言う自分の心臓の音、だけ…
響き渡る…
手…離せない…あたし変。
あたふたしながらも彼を見つめる。
彼女は床に座る姿勢で大斗の手を握ったまま瞳を瞑った…。
―――――――――
ヤベッ!!寝てた!!何時だ?!
明け方まで寝ていた大斗は飛び起きた。
身体を上げると、自分の手が動かない事に気が付く。
『おわっ!!』
大斗は夕陽に気付いて驚いた。
彼女は、昨晩の体制のまま寝ていた。
えーと?夕陽がいる?何故??
…しばらく、夕陽と手を握ったまま考え込んだ。
昨日熱が出て…
えーと…?その後…
夢見て…?
あんま思い出せねぇ…
『おい!!起きろ?!』
誰よ…?うるさいなぁ…
夕陽は「うーん」と自分を揺さぶる何かを手で払いながら再び腕を枕に眠りに入ろうとする…
しかし大斗に揺さぶられてフラーと後ろに倒れて―…
ガッツンッ!!
『いたーっ!!!』
机の角に頭をぶつけて飛び起きた。
『何事…?!!あれ…?ここ…どこ?』
半分寝ぼけた夕陽は部屋を見渡す。
ぐるりと見てから最後に大斗の顔が視界に映った。
『のあーっ!!』
一気に目が覚めた夕陽は昨日の事と今の状況を把握して、瞬間に真っ赤になった。
『大斗…熱、平気?』
そして苦笑いで彼に言った。
『何が何だかよく覚えてない…。何で夕陽が俺んちいるのだ?』
えーと…何も覚えてないって事ですか…?