『ひろと…』
夕陽はそんな様子をただ見つめていた。
大斗が…変…
―…
彼女はそろそろと彼のそばに近づいた。
そしてベットに虚ろに座る大斗をそっと抱きしめる。
『夕陽に…偉そうな…事、何時も色々言うけど…本当は…俺だって…』
大斗はどこか一点を見つめてゆっくり話し出す。
どど、どうしようっ…
あたしっ何してんの?!!
無意識の自分の行動に焦り、大斗の言葉に切ない顔になって夕陽は思う。
でも…大斗が消えちゃいそうだから…
なんか…
『あんたは…大斗は…ちゃんと生きてる…そのままでいい…全然、駄目なんかじゃないよ…』
夕陽は自然と出てきた言葉を紡ぐ。
『あ、あたしは、そんな大斗にいっつも、た…助けてもらってるんだよ?だって…大斗がいなかったら危ない瞬間、いっぱいあったもん!!』
たどたどしいが、一生懸命気持ちを伝えようとする。
『だから…昔なんて、どんなだっていいじゃない?今の大斗がいるのは昔があるからなんだから、むしろ良かったって思えばいいじゃない?!だって今の大斗は何も間違ってない!!』
『うん…』
ぎゅっ…
大斗はゆっくりと夕陽の背中に手を回す…
『ありがとう…ごめん…本当に…ごめん…もう少しだけ、こうしてて…』
彼は腕に力を込めた。
気が付くと夕陽の瞳から涙が伝っている。
あたし…何がこんなに悲しいんだろう…
涙が勝手にでてくるよ…
そして、大斗はフラッとベットに倒れこむ。
夕陽は焦った拍子に支えようと彼の腕を捕まえた。
すると大斗はその手を自分の手で握り返し、
頬に当てる。
そして、そっと瞳を瞑った。