『と…とりあえず、薬買ってくる!!』

と立ち上がろうとすると…

ガシッ!!


大斗に腕を捕まれ、

そのまま彼に引き寄せられ…

抱きしめられた


『ちょっと…大斗っ…?!』

大斗の熱い胸の中、夕陽は慌てふためく。


ドキドキ…ドキドキ…


熱の大斗か、自分の鼓動か…?

胸の振動が…伝う。


わわわっ。もうやだっ…何?!

わけわからない…どうしよう…


『咲…俺…怖い夢みた…』

突然、朦朧と大斗は話し出した。


え…咲さんって…?


夕陽は抱きしめられたまま、とても切なく悲しい顔…

『ひ、大斗ぉ…??』


あたしは…咲さんじゃないよ…。


『刺されて…怖かった…毎日地獄だったけど…だけど…死にたくなかった…』


…えっ…昔の事?

思い出してる?

どうしたのよ?!

大斗…?


『だ、大丈夫だよ…』

しどろもどろ、大斗の頭をなでる。

『また、こんなになっちゃった…俺…』


ど…どうしよう…


『学校…楽しい…から、色々、忘れてた…忘れようと、してた…でも現実は…事実は変わんないから…』

『大丈夫だから…』

夕陽はもう、それしか言えなかった。


『あれ…?ゆーひ?あー、電話した、んだ…来てくれたんだね。なんで…電話?わかんねぇ…』


ねぇ大斗?

あなたは咲さんに話してるの?

あたしに話してるの?


『俺、独りは嫌だよ…』

ぎゅっと大斗の腕に力が入り

小さく呟く…声。


そのすぐ後にスースーと寝息が聞こえた。



寝ちゃった…?


夕陽はそっと彼から身体を離すと外に出ていった。

そしてコンビニと薬局で一通りの薬や食べ物と体温計を買う。


自分の気持ちを何て表現したらいいのかわからないよ…


夕陽は胸が締め付けられる思いを抱いて部屋に戻ってきた。