『さっきの、中学生だって…可愛いかったし、どうせ…』

『あのこは、昔咲と喧嘩してた時に、たまたま知り合っただけ。なんか、なつかれたけど…どうでもいいよ』

大斗は夕陽の言葉を遮って話す。

『俺は今、夕陽と話してんだ。他の事はどうでもいいだろ?現にお前は今泣き止んだじゃねぇか?』

『ちょ、超…無茶苦茶…』

大斗は夕陽の言葉は聞いているのかいないのか?ヒョウヒョウと空を見上げる。


文化祭日和のよく晴れた10月のある日。

校庭で賑わう音が心地好く2人を包んでいた。

気持ちの良い秋の風…


はぁ 落ち、着く…

大斗はいっつもベストタイミングで助けてくれるんだよね…

悔しい、けど…

でも、あたし、こんなムチャクチャなヤツだけど…、

やっぱ…友達に…


『なれて…よかったぁ…』

空を見上げて夕陽はそこだけ呟いた。


『何だソレ?意味ふめー…だけど、当たり前って感じ♪?!』

晴れ晴れした顔で大斗は答える。

夕陽は、はぁ~と彼を見る。

『戻るか?』

『うん』


夕陽は大斗より先に歩きだした。

過去から前進するように力強く足を踏み出す。

一歩ずつ、一歩ずつ…


――――――――――


屋上から夕陽達は拓巳達が待つ教室に帰った。


『結衣さん…色々すみませんでたた。あたしは本当に大丈夫ですから、拓ちゃんと…』

とその続きの言葉は言えなかった。

けれど、穏やかに本当に穏やかに笑って頷いた。


『本当にごめんなさい…ありがとう…』

結衣は涙ながらに笑って返す。

夕陽は首を振る。

拓巳にも"大丈夫"と伝えようと気持ちを込めて笑った。


『よしっ!!のむか?!』


咲はどこからか缶ビールを取り出して開ける。


『また会おうな、夕陽』

『うん♪』


ありがとう、拓ちゃん…


拓巳は周りの生徒と少し話してから結衣と帰って行った。