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『いやぁここに小田桐がいたのかぁ?!何か変な感じだな。そう言えば、店の名前何て読むんだ?』
『「レダ」ギリシャ神話にでてくる綺麗なお姫様のことなんだよ。後はね、宇宙の木星の外側の衛星群だって♪』
『何だよソレ?後ろの半分は意味分かんないけど…?』
『あ。やっぱ…?』
『どうせ小田桐のウケウリだろ?』
ププッと大斗は笑う。
『実はお前もわかってないんだろ?何だよ?衛星群って!?まぁ、小田桐がなかなか恥ずかしいヤツだってことは判ったぜ』
『そそそ、そんなことないもん!!あーぁ!!もうっ!!大斗はロマンがないわねっ!!拓ちゃんのことをなんて言うのよ!!バカバカ!!』
『ふざけんな!!俺ほどロマンチストはなかなかいないぜ!!―あ。俺コーヒーね。』
『ケーキは?』
『いらない。甘いの好きじゃないし。』
大斗はメールをめくりながら言った。
『ケーキ食べに来た意味ないし。大斗、誕生日の時食べてたじゃん』
『気分♪』
『もぅっ知らない。勝手に頼んじゃゃおー!!すみませーん!』
少しふてって夕陽は店の人を呼ぶ。
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しばらくするとケーキが運ばれてきた。
夕陽の前に置かれたのは可愛く飾られたチョコレートのケーキ。
『―…』
彼女はじぃーとそれを見つめる。
懐かしい…
ぼーっとケーキを見ている夕陽に気付いた大斗、
『あーっ!!』
っという間にケーキの半分を自分の口に放り込んだ。
『ちょっと?!何すんのよ?!食べないんじゃなかったの??』
モグモグする大斗は夕陽の顔をじっと見たまま飲み込むと、
『チョコレートなら食える』
とすぐに残りの半分も口に入れてしまった。
『ちょっとーっ出せーコラー!ばかー!!』
夕陽は席を立ち上がる。
大斗は何食わぬ顔でケーキを飲み込みコーヒーを一口飲んでから口を開いた。