『そうだなぁそうするか?』
『死ね小田桐っ―イッタァッ!!』
大斗の言葉に咲の蹴りが入る。
『変わってないなぁ咲』
『当たり前よ。ねぇ?拓巳、車?あたしタクシーで来たんだけど、送ってくんない?てか呑みに行こ♪』
『相変わらず図々しいとこも変わんないな』
『当たり前よん♪大斗はちゃんと夕陽ちゃん送って行きなね。』
そう言うとそそくさ出ていってしまった。
『じゃあまた明日ね』
拓巳も後に続いて出ていく。
屋上に取り残された夕陽と大斗…
2人が出ていった屋上のドアを見つめた。
大斗…
夕陽は大斗が何を思っているのか気になってしょうがない様子で、彼をちらっと見る。
『…』
『ひろとー?』
『…―』
『帰るよー?』
それを聞いて今度は大斗がチラッと夕陽を見てから無言で前に進んだ。
彼女は不意を突かれて出遅れてしまう…
『早く行こうぜ』
振り返り片方の眉を下げて「全く…」と小さく笑う。
あたしは…大斗があたしにしてくれるみたいに気のきいた事、何にも言えない。
すごく大斗が寂しそうに見えるのに、何もしてあげられない…。
夕陽は大斗の心配ばかり。
本来なら自分だって拓巳と咲の事が気になってどうしようもないはずなのに。
もちろんその通りだが、それよりも大斗の事が気になってしょうがなかった。
スタスタ歩く大斗を追いかけていく。
えっとえっと…そうだ!!
『大斗っケーキ食べに行こう?!』
大斗の背中に向かって叫んだ。
『はぁ…ぁ?』
"何を突然?"という感じに振り返る。
『今急に思い出したの。行きたい場所があるから行こうっ』
大斗は必死に話す夕陽を見て
『夕陽も言うようになったな』
と「わかったよ」と言う感じに微笑んだ。