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ドキドキ ドキドキ…

なんだか変な気分だよ…


ガラッ…

HRのチャイムと同時に夕陽は教室のドアをそっと開けた。

拓巳がドアに向き、彼女と瞳が合う。

『…―おは、おはよ…ございます』


また噛んじゃった…っ!


『おはよう』


キラキラの拓ちゃんの顔…何だかテレてしまう。


夕陽はドアで制止し、少し下を向いて赤くなった。


ドンッ!!


『あぅっ…っ』

と同時に夕陽の身体は室内に押された。


?!


『邪♪魔♪』

後ろから大斗がやってきて

『おー!!拓ちゃんせんせーおはよーさん』

と夕陽を押し退けてズカズカ教室に入っていった。


『ちょっ「拓ちゃんせんせー」って何よ?!!』

夕陽は我に還って大斗の後を追い教室に入っていく。


『おー神崎大斗おはよう』

拓巳は答え、大斗と意味深に笑い合っている。

「たくちゃーん」周りでクラスメイトが拓巳を呼ぶ。

夕陽は「もうバカ…」と呟いて席に座った。


何なの?2人でアイコンタクトなんかしちゃってっ何なのよッ!!


もちろん昨日の大斗と拓巳のやりとり、もとい夕陽の話があったからだろうと彼女にはわかり、恥ずかしくなって下を向いた。

『たくちゃーん』

大斗の発言により、拓巳はクラス中キャーキャーするくらいに名前を呼ばれる。

夕陽は深呼吸の後、頬づえしながらそれをじっと見ていた。


「拓ちゃん」って呼ぶのあたしだけだったのに…


少しシンミリするものの「お前は前に進んでるんだ」と言う大斗の言葉を思い出した。


『まっいっか』

だんだんとそんな気持ちになってきた夕陽だった。

あれだけ思い焦がれていた拓巳を目の前にして落ち着き直せた自分に拍手をしたい気分だった。



そのまま1時間目になり、拓巳の授業の数学になった。

夕陽はボーッとしながら昔の事を思いだしていた。


昔…拓ちゃんに数学教わったなぁ…


『…―さん?片桐さん?』

突然呼ばれて夕陽はハッと気付く。