バイクが停まっている。
でも持ち主は見当たらない…
バイクを見つめて"?"と首を傾げた…
『おかえりー♪』
後ろから声がしてハッと振り向くと、コンビニの袋を持って煙草を吸いながらやって来る大斗の姿があった。
『た、たただだいまっ…』
夕陽の返事に大斗はクックックッと笑う。
『っどもりすぎ…』
『だって…「おかえり」なんて久しく言われてないし「ただいま」なんて久しく言ってない…』
彼は「そっか」とただ笑う。
『…店で咲が待ってる。ゴメン、俺、咲に「昔夕陽に会ってた」って言っちゃったんだ。そしたら「すぐ連れてこい」って。いつ帰るかわかんないのにね』
苦笑して話す。
通りに何本も煙草の吸殻が落ちている。大斗が大分前から待っていたのがわかった。
吸殻を見つめる夕陽に気付き
『まぁ…あれだけなれば、俺だって気になる』
普段は聞かないような大斗のセリフな気がした。
『あ…ありがとう…』
聞こえないくらい小さな声を彼は拾って少し笑う。
『吸殻拾いなよね』
照れくさくてそんなことを言った。
『へいへい』
しぶしぶしゃがみ込む大斗を見て夕陽は可笑しくなってしまう
『何笑ってんだよ?行くぞ』
大斗はメットで夕陽を小突いて言った。夕陽は少しフクレてような小さな笑顔で平然とバイクに乗った。
『夜がきもちーいーねー!!』
夕陽は走りながら大声で叫ぶ。
『あぁ~!』
大斗は答える。
キラキラ星が瞬く。
風を切る。
今日は1日が長い。
気持ちが良い夜で良かった。
もっと風を感じようと瞳を閉じた…
―――――――
『ゆーひちゃーん!!』
スイートブルーのドアを開けたと同時に咲の声。
『待ってた待ってた♪座ってぇ♪』
とイスをポンポン叩いて促す。「アンタ飲むもん早く!!」と大斗には言い、彼が舌打ちするのを睨み付ける。
夕陽は変な気分になってクスクス笑いながら腰かけた。
『久しぶりだね。』
「大斗から聞いたよ」と伝わるように話すので、