「夕陽は?」
「あいつ…屋上で待ってる。行ってやってよ」
それに返事をせずに拓巳は屋上に向かって駆けて行く。
「おい!!小田切!!夕陽はお前の事…」
大斗は背中に投げ掛けた。
拓巳は振り向き
「神崎!!俺先生なんだけど?!呼び捨てるなよっ」
と笑って返す。
「帰る支度してんだろ?もう先生の時間は終わったじゃねぇか?お前はもうただの大学生だ」
大斗は笑う。
拓巳ももう一度笑ってそのまま走って行った。
―――――――――――
『神崎大斗…生意気だよな…。あいつなかなか面白い…』
拓巳は大斗に会った時を思い出しながら呟く。
『えーっ?!大斗…まさか拓ちゃんに何かしたのっ??』
『ははっ。してないよ。あいつはいいやつだ。』
「えー…わかんない」とブツブツ言う夕陽を見て拓巳はクスクス笑う。
『でも、安心した。元気そうで良かった。』
『拓ちゃんもね』
2人は笑い合う。
車はあっという間に夕陽の家の前。
『拓ちゃん、ありがとう。また明日からよろしくね、せんせ♪』
笑顔で言った。
『なんか、夕陽の先生だって、変な感じだな。よろしく。』
そして、夕陽は車を降りる。間もなく車は走り出した。
曲がるまで背中を追った…
拓ちゃん…会えて良かったよ…
今まで…ありがとう…
ずっと…ずっと…
大好きだからね…
玄関の前に行くと…
『あ…』