『優衣さんは…優衣さんはどうしてる?…あたし、ちゃんと怪我治るまで…病院行かなきゃだったのに…それすらできなかった…』

夕陽はずっとつかえていた事を話した。

拓巳はしっかりと夕陽を見つめる。

『優衣は、元気だよ。2ヶ月くらい入院して…でもなんとか入試に間に合ってね、俺と同じ大学にいる』


良かった…良かった…


『優衣さんとは…付き合ったりしてないの…?』

穏やかに夕陽は問いかける。


『付き合ったり…?してない。優衣も色々思ってる。それに…俺もやっぱり、完全に前に進むことできなくてね…。情けないことに…』


あたしが逃げたからだよね…


『あたし…本当にいけなかった。取り返しつかない事…した…。そうだよね…蟠り作ったまんま消えてしまったんだから…』

拓巳は静かに首を振る。

『俺、あの頃夕陽に会えなくて、結構落ちてさ。優衣には怪我してんのに心配させちゃって、お互いずっと謝ってばっかりだった。』

お互い切ない顔で見つめ合った。

『俺…夕陽はもう俺に会いたくないんだって思って、どの道このままの自分じゃ駄目だって、夕陽ん家に行くの止めた。…―バカだったな…俺…何やってたんだろう…今なら良く分かるのに…』


今度は夕陽が首を振る。


『バカなんかじゃないよ。自分で言うのも変だけど、あんなにされたら誰だってそう思う』


泣きそうになった…

でも…平気だよ…
大斗…


『拓ちゃん!!あたしは大丈夫だから。拓ちゃんは拓ちゃんの想いを貫いて。今本当は優衣さんのこと、1番大事でしょ?』


拓ちゃんを見てたら…そんな気がしてしまった。

2年分の想い…


『あの頃はあの頃…拓ちゃんが、あたしの事を大切にしていてくれたこと、今なら物凄く分かるもの…だからね、今は今なんだよ…』


泣きそうになった…けど、大丈夫。

涙は出なかった。

明るく言えたよね…?


そう言った夕陽、それはとっても綺麗な顔だった。


拓巳は驚いて夕陽を見つめる。


『ははは…やっぱり俺等は交わらなかったか…。』

目線を空に外した。