――――――――――


静かに屋上のドアが開いた。


夕陽は手すりに掴まって夕焼け空を見ている。


髪の毛がサラサラ揺れる。


秋風が気持ちいい…


タン タン タン…


あっ…足音…

この音知ってる…



『夕陽っ!!』


声のした方へ、ゆっくりと振り向いた。



『拓ちゃん…久しぶり』


そして…笑顔で答える。

心の中は朝と違って驚くほど穏やかだった。


『やっぱ、夕方になると秋っぽくなるんだねぇ…』

再び手すりに向き直り、柔らかく拓巳に話しかける。


『そう、だな…』



拓巳は橙色を見上げて呟く。

そして夕陽の隣に並ぶ、彼女はそれに気付いて2人は向き合った。


『元気だった?』

少し寂しそうに尋ねる拓巳。

夕陽は頷く。


『2年振り…か』

『うん…あたしね、高校生になったよ』

『そうだよな。俺だって二十歳だもんな…』

静かに会話は繋がっていく…。


『しっかし、朝はマジでびっくりしたよ。夕陽がここにいるんだもん。しかも一瞬で消えたからね、幻覚かと思った』


そしてハハッと小さく笑う。


『あたしも…かなりパニックだった。でも拓ちゃん、すごいねっ!先生なんて。』

と明るく笑いかける…。