そう思って特に気にせず再度大斗はドアを開ける。


あいつ…「たくちゃん」って言ったよな??誰だよ?


大斗は、中に教育実習生が居る事に初めて気付いた。


?!

あ!!




何かを感じた大斗は

『ども』

とだけ言ってドアを再び閉めると、夕陽の方を見る。

彼女はフラフラと歩いている。

『おぃ?!片桐さーん!!』

夕陽を呼ぶが一向に振り向く様子はない。


フラフラフラフラ大斗との距離が空いていく。

『おぃ!!片桐さん!!』


追い付くように大斗ほ軽く走っていく。

全く気付かない夕陽…


『おい!!』


何だよ?!!!

何なんだ?アイツ…

あーもう!!


『ゆうひっ!!』

ビクッ!!!


大斗に背を向けたまま夕陽は立ち止まった。


そして、ふっと振り向いた。


あ?!

泣いてる…?!


?!

こいつ…


!!

――――


「咲ぃ~俺今日事故みた」

「何々?死んでたぁ?」

「知らん。でも交差点でチョー泣いてる女いて、雨に打たれて時間が止まったみたいになってた」

「キャハハーかわいそー」


―――――


えっ…

まじ…?!ギャグ…?!


振り向いた夕陽は、見たことない涙の流し方をしていた。

涙腺が壊れたかのように大量の涙が溢れ出している。


!!

大斗は夕陽とのわずかな距離を駆け寄る。

そして彼女の手をとった


『来い!!』


―――――――――――


何が起こったの?あたし今、大斗のバイクに乗っていると…思う。

風に飛ばされそうで…だから振り落とされないように必死にしがみついてて…

学校…どうして居るの?


頭の中は真っ白だった…


夕陽は大斗の腰に回す両手に力を込めた。

太陽の暑さに負けない彼の体温が夕陽に伝わる。