『なんだよ?こっちのセリフだバーカ。』

大斗は「やれやれ」と返すが夕陽は

『朝から呼び出しされました。「神崎君の電話番号教えてよ」と偉そうな先輩でした。そのせいで、あたしは遅刻になりました。あのね?!自分の取り巻きはちゃんと管理してよ!!あたし関係ないし!!』

とスタスタ歩いて行ってしまった。


げっ…ちょー怒ってるし…


『ちょっと待てって、誰だか知らないけど俺、先輩とかとほとんど話したことないし?!』

『無意識に寄せ付けてるんでしょ?すれ違いに微笑みかけたとか、体育祭で話したとか、いつもしてるでしょ?あーっもう、イライラするッ!!』

『なんだよっ?ヤキモチかよ?』

ぺろっと言う大斗に、夕陽は振り返り、また大きくため息をつく。

『本当にオメデタイ…何度言わせるの?!んっっっとーに、あり得ないからねっ!!あんたにヤキモチなんてしたことない!!』

夕陽は少し溜めを作ってから畳み掛ける。

『あぁもう、ごめんってっ!!』

大斗も大斗で暑さのイライラも有り、突っかかり返してしまう。

『てゆうか、もう付いてこないでよ!!』

言い合いながら教室の前。

中から担任の声が聞こえる…


『今日から教育実習に来ることになった小田桐…―』


ガラッ!!


夕陽は遅刻ということも忘れて、教室の前のドアを勢いよく開けた。


えっ…?


『ついてくんなってクラス同じじゃねぇか?バカか?』

大斗は後から追いつき夕陽の肩を掴んで停めようとする…―。。



えっ?


なんで?



『たく…ちゃん?』


夕陽は小さく呟いたと思うと、


『間違えました』


ガラッ!!


とまたドアを閉め、後退りする。


大斗は不意打ちに夕陽が下がって来てグラッと体制を崩してしまった。


おぃ…?片桐さん??


『え…?ちょっと待って何??えっと…あっ…』


夕陽は何故かとても困惑して色々呟いている。

そして、大斗の存在を全く無視し、教室から離れていく。


何だよ…あいつ…?変なの…。暑さでついにイカれたか?!