『ゴメン…あたし…親から電話きて留守電繋げてぼーっとしてたら、家に居たくなくなっちゃって…夜風にフラフラ気付いたら長々歩いてた。』

申し訳ない感じに言ってうつ向いた。


全く…世話が妬ける女…。


『俺さ、昔警察に追いかけられてる時に事故見たんだ。事故に遭ったヤツ見てたら"不幸なの俺だけじゃないなぁ"とか思っちゃってさ。そのまま捕まって、警察の話しはいつも通りバカらしかったけど、事故思い出したら、自分のしてる事のがバカらしくなった。』

バイクを目の前に持って来て停めた。

そこに腰掛け

『そっから前ほど無茶苦茶するの辞めた。俺、お前が言ったみたいに屈折してる、人の不幸見て立ち直ったからね。でもさ、人が変わる瞬間っていつ起こるかわかんねぇよ。お前は、だからたまには向き合ってみれば?親だって電話くれたんだろ?どんな関係か知らないけど、話したくないならメールくらい入れとけば?』


そう言ってメットを差し出す。


夕陽はハッとなって携帯でメールを作成し送信した。

[あたしは、元気です]

素っ気ない一言、でも電話にでても理由をつけてすぐ切っていた夕陽、自分からメールなんてしたことはなっかた。

送信すると黙ってバイクに股がった。

そして、エンジンがかかる瞬間に「ありがとう」と背中に呟く。


素直なヤツ。危なっかしいけど。


彼にはちゃんと聞こえていたようだ。

大斗が笑うので背中から夕陽の顔に振動が伝わった。