なんとも…パワフルなお姉さんだ…

「沙希ちゃん　ごめんねぇ。」

やっと離してもらえて息を吸ってから

「大丈夫です。」

と笑って返事をした。

昶さんは困ったような顔をしている…

「どうしたんですか？」

「いや…　沙希を送っていくから
支度しといて。その間、姉貴に話があるから…」

「はい。あ…　お洋服お借りします。」

「あら？それ…沙希ちゃんはこっちの方が
良いんじゃないかしら？」

といって、なんだか真新しい洋服を貸してくれた。

「ありがとうございます。香織さん。」

ブラウスとフレアのスカートを貸してもらった。

それに着替えている間に、社長と香織さんは
別の部屋で話し合っていた。

着替え終わったけど…どうしよう。

今出てったら、話を中断させちゃうよね…

そんなことを考えながら、昨日の出来事を
思い出していた。

まずは、沙奈に昨日の夜のことを説明して…
由美には、美馬さんとのことを聞いて…

ごちゃごちゃ考えるのに慣れていないから
頭の中の糸が絡まっては、自分なりの答えが
出てこない…

困ったもんだ。

「百面相してなにしてんだ？」

「え？　昨日のこ…　あれ？！
いつの間にいたんですか？！」

「…ふっ　お前、難しい顔をしたと思ったら
なんだか、切なそうな顔して…忙しい奴だな。」

ドキン…

ん？

今の胸の音はなんだ？

優しい顔で、話しかけられたから、
反応しただけかな。

と自分で決めつけた答えをだした。

「百面相していてすみませんねっ。
あ、自宅に帰るので駅を教えて下さい。」

「家まで送っていくから、支度出来てるなら
もう出るぞ。」

鞄とコートを持って部屋をでた。