「ばかだなぁ、っとに…」
晃有はいつもと変わらない笑顔で笑った。あたしまでなんだか、晃有につられて笑えた。
それから少し会話が途絶えた。でも、そんな小さな空白が心地よかった。
「そんなこと心配してたなんてな…」
さっき言った言葉をもう一度繰り返す晃有に、あたしも言い返した。
「…結構前から考えてたんですけど。笑うなってば」
「ごめんごめんっ……だってさ、お前可愛すぎ」
あーもうあーもう
また晃有に持ってかれる
「……はいっ、終わり!!」
ぱちん!と手を打ち鳴らして、あたしは晃有を見た。小さな子をあやすみたいに笑いながら、晃有も答える。
「はいはい、しょーがないですね」
「なにその言い方…」
言いかけたところであーやが抱きついてくる。
「アキちゃーん!おはよぉっ!!」
「おはよ、あーや」
晃有はあたしの机に置いてあった筆箱からシャーペンを取り出して、机の上をすべらせた。
あたしがそれをあーやが見れない様に手で隠すと、晃有はあたしの視界の端っこでイタズラっぽく笑った。