競技場から出ると、辺りは夜の帳(トバリ)が降りていた。とは言ってもナイター照明のお陰で足元が危うい程ではない。

目の前の道路は競技場から溢れ出た人や車でごった返していた。

僕は車が来ないのを見計らって土手へと駆け上がる。
舞鶴橋に向かう土手の上にも結構な人達が家路へと歩いていた。

競技場の方へ目をやると、さっきまで行われていた熱戦の余韻が感じられる。



(´・ω・`)
「サッカーって・・・」

僕は誰に言う事もなく呟く。
人の流れが僕を追い越して行く。



(´・ω・`)
「サッカーって・・面白いな・・」

小さく吐き出して歩き出した。
左手下には車の長い列が出来てた。
テールランプの赤い色がやけに眩しく感じる。

と、突然携帯の着信音が闇を切り裂くように鳴り響いた。

誰からかすぐに察しがついた。
しぃちゃんからだ。

(´・ω・`)
「はい、モシモシ・・」

僕は歩きながら電話に出た。
僕らは滅多にいきなり電話をかけたりしはなかった。
まずメールで相手の都合が良いか確認してからしか電話はかけなかった。
余程焦っているのだろう。
電話からもそれが伝わってくる。

(*^^)
「モシモシ?今どこですか?」