(*^^)
「お父さん、最終戦来れるって!」
しぃちゃんが嬉しそう言ったのは最終戦の行われる2日前。金曜日の週末、アパートに泊まりに来た時の話だった。
(´・ω・`)
「親父がサッカー観にくるんですか?」
僕はにわかには信じられなかった。
僕の父親はスポーツにあまり興味を示すような人ではないからだ。
テレビで大相撲の中継を見る位でプロ野球も、ましてやJリーグなんかには興味がないはずだ。
中学、高校と野球をやっていた僕の試合もほとんど見に来なかった位だ。
本家の従兄弟とバッテリーを組み、そこそこの成績を上げ、試合の日には近所の人達も試合観戦に駆け付けるのを余所に、僕の父親は仕事をしていた。
そんな父親がサッカーを、Jリーグの試合観戦に来るって?
(´・ω・`)
(しぃちゃんはどんな魔法を使ったのだろう?)
それに父親は僕のアパートを訪れた事さえない。
多分僕がどこに住んでいるのかさえ把握してはいないだろう。
(*^^)
「日曜日の朝、ホーバーに乗って来るって言ってたから迎えに行かなくっちゃね」
(´・ω・`)
「て言うか、親父と連絡取り合ってるんですね」
(*^^)
「うん、ほとんど毎日電話で話してるよ」
(´・ω・`)
(ちょ、毎日って・・)
(*^^)
「今度お父さんに携帯買って上げようかなぁ、メール出来るし」
(´・ω・`)
(もう付き合っちゃえば良いんじゃないかな・・)
こんな調子で日曜の朝がやって来た。
僕としぃちゃんは到着予定時刻にホーバー乗り場に向かい、父親がやって来るのを待っていた。
今日の試合は父親と観戦すると言う事でメイン側の指定席を3枚買っていた。早く行って席を確保する必要は無かった。
試合開始までにはまだ4時間ある。
父親の搭乗しているホーバーが港に入って来る。
しぃちゃんは搭乗者出口の一番前で父親が現れるのを待った。
タラップに父親の姿が見て取れると、精一杯に背伸びをして手を大きく振った。
父親はそんなしぃちゃんに気付いたらしく、ニコニコと手を振り返す。
僕の方には気付いてないのか一切目もくれない。
と、僕は父親の後方を寄り添うように着いて来る一人の女性に目を奪われた。