「まぁまぁ落ち着け。リーダーのお前の気持ちは良くわかってるから。」

クマテツは、顔を赤らめたまま更に頭を項垂れる僕をなだめるように分厚い手のひらをヒラヒラと動かすと周囲に気を使うようにこちらに顔を寄せ、若干抑え気味の声で言葉を続けた。


「…実は、俺の後輩にプロの演奏家だったヤツがいてな。そいつが美瑛の廃校で音楽を教えているんだ。」

「…え?」

「どうだ?一週間ほど皆で行ってみないか?ていうか半ば話は進めているんだがな。」

「えっ、合宿ですか?しかも僕に彼らを説得しろって…。」


(うっそだろ~!クマテツったら、何考えてんだよぉ。)

僕の動揺は最高潮に達し、握りしめた手にはじっとりと汗が滲んでいた。