「なんでもないです、なんでも」


…嘘じゃない。

だって、自分でもわかんないんだから。


「なんでもなくないだろ!?

こんな陽菜、初めて見たんだよっ!!」

「……しょうがないじゃないですかっ!!
自分でもわかんないんだもん!!

こんなのわかんないよ、
こんな気持ちになったことないもん……」


いつの間にか、
敬語じゃなくなってた。

部長はなんとも言えない、寂しそうな表情で

「だよな…。

ゴメン」

と言った。


その声で気付いた。

悪いのは…あたしなのに。

完璧…八つ当たりだ……。

なにやってんだろ。