そこまで好きか、陸上。


普通ならそう思うかもしれない。



だけど、何てったってあたしも…

3度の飯より陸上!!人間だから。


「だよねーっ!!!!!

うん、それわかる。

あたしは100メートル!!
走ってると、風になれるんだよ?」


「それわかるかもしんねぇー!!
ついでに50メートル何秒?」


彼は意味ありげな笑顔で聞いて来た。

逆にそれはすごく楽しそう、にも見えるけど。


あたしはキーホルダーをいじりながら
「6秒9」
と言った。


だって女で6秒台って…

ハズイ…


ところがどっこい、小田切は

「オマエやべーなっ!!
俺だって6秒5だぜ?

天才じゃね!?」

と言ってくれた。