冷静になって改めて考えてみると、
金石がいたのは自分の境界線の外。


つまり、
自分が境界線を越えて抱きついた、
ということになる…。


…先程それに気付いた沙弥は、
金石に会わせる顔がなく、
食堂に向かうのをためらっていた。


(ど、ど、ど、どうしよう!

…うわ!
もう9:34!!

うぅ……。
くそぉ!行っちゃえぇ!)


半ばふっ切れてしまった沙弥は、
階段を駆けおり、食堂へと急いだ。


…沙弥の足は、
食堂の入り口の前で止まった。


(や、やっぱり無理…。)


中に3人がいるのが見えて、
沙弥はまた弱気になってしまった。


(あたしが悪い、
それは分かってる。

でも…!

…あぁ、あたし悪い子……。)


頭を抱えて、
入り口付近を行ったり来たりしている。


そんな沙弥に、
木本と水華は全く気付いていなかったが、
金石は気付いていた。