すると、
ゼロは顔を上げ、沙弥に向かって不敵に微笑んだ。


『ふっ…。
さすが姫…。


…今日、決着をつける。
そうしたら、君は私のものになるからね…。』


ゼロの体が徐々に透けていき、
ついに消えた。


気味の悪い笑みを残して。


そして、沙弥は一気に脱力した。


(一時はどうなるかと思った…。
とりあえず、
あの声のおかげで助かった…。)


びっしょりかいた汗をぬぐい、
毛布をかけ直して、
沙弥は目を閉じた―――。


―――翌日。


鳥たちの奏でる音で目を覚ましたのは、
金石だった。


「う………ん?!?」


金石は固まった。