「!!!」


沙弥はハッと目を開いた。


(黒い影が見える…。)


沙弥の目の前には、
ぼんやりと黒い何かがいた。


数秒間、目をこらしてそれを見た。


「……!!」


『お目覚めかな?
お姫さま。』


沙弥の上に乗っかっていたのは、
ゼロだった。


沙弥はとっさにゼロの下から逃げようとするが、


体が動かない。


「な…んでっ…!」


声しか出せない。


『無性に会いたくなってしまったのだよ…。


直に君に触れたかったんだ……。』


そう言って、
沙弥の頬を手で撫でた。


(嫌だ!気持ち悪い!!)


体に力が入らないため、
拒絶することができない。