走ること10分。陸の家に到着した私は荒くなった息を落ち着かせながらインターホンを押した。


「はい。」

押すとすぐ、いつもより少し低い陸の声が聞こえた。

「榛奈だけど…」

「入って。」


陸は一言そう言うと、インターホンを切ってしまった。



陸の両親は共働きで、陸の唯一の兄弟のお兄ちゃんも一人暮らしだから、私はいつも勝手に陸の家に上がっている。


私はいつものように陸の家に入ると、2階にある陸の部屋へ向かった。