“そっち”って、どっち!?


寝起きで思考が半分停止状態の私は 
訳がわからなくてベッドから起き上がる。 



すると、ガチャガチャと玄関がうるさいことに気付いた。


………え?

もしかして…泥棒!?



ど、どーしよ…


拓真くん……、助けて…!


「拓真くんっ……

どーしよ……!
誰かが玄関から入ろうとして……」


《……え?

それオレだから、だいじょーぶだよ〜》


機嫌がいいのか、異様に明るい拓真くんの声に肩の力が抜け、この前私の部屋の合鍵を渡したのを思い出した。



慌てて寝室を出ると、ちょうど拓真くんがリビングへ入ってくる。 



それに安心してホッとしたのもつかの間、 

ぎゅっと力強く抱きしめられた。



ドキドキして、拓真くんの背中にそっと手を回す。 

そして気付いた。 



「……凄いお酒の匂い。」



拓真くんから離れて顔を覗きこむと、特に変わった様子もなくいつも通り。