でも………


「それじゃ、私帰るね。」

拓真くんからスッと離れる。 


今は、早く帰りたい……



私……見ちゃった………


キッチンの流しに“二人分”の食器が置いてあったのを…


多分、誰かと一緒に夕飯を食べたんだよね。 


最初は男友達かと思ったけど、 


違う。 




流しに置いてあったコップには口紅のあとが残ってた。 



もう無理だよ……


私、耐えられない……


誰?

誰と一緒にご飯食べたの?

女友達?



それとも………



本命の彼女………なの……? 



聞きたくても聞けない。 

聞く勇気もない。 



「何で?もう、時間ない?」


手首を掴まれて、また抱きしめられそうになった 


「ごめんね。今日、1限から講義だから…帰って、シャワーも浴びたいし…」




本当は今日の講義は午後からだったりする。 


でも、 
これ以上この部屋には平常心ではいられないから……