逃げてばかりだった。
無意識にレンに頼りっぱなしだった。
でも、そんな自分を変えなければいけないんだって、クロスのお陰で気付く事が出来た。
「どんな困難が待っていたって、見えない恐怖が襲ってきたって、それで逃げてばかりいたら、それは言い訳にならないの!」
「ミライ…」
「あたしは大切な人を、地球を護るって決めた。だから―――」
クロスに向かって手を伸ばすと、スウッと自分の手が透けていく事に気が付いた。
いや、透けているというか…消えていると表現した方がいいかもしれない。
「ミライ、お前の決心は受け止めた」
「クロス…?」
「もう夢の時間は終わりだ。さあ、思う存分チャームと戦って来い、ミライ!」
その言葉と共に、あたしは初めてクロスの微笑んだ顔を見た。
どんどん消えていく自分に戸惑いながらも、あたしはそっと目を瞑る。
―――ありがとう、クロス。
行ってきます、大好きな人達が待っている世界へ…
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