こんな事、ありえるのだろうか。
今までに経験した事のない展開に、あたしはもちろん、いつも冷静なレンまで言葉を失っている。
次の瞬間、人々に降り注いでいた針が、方向を変えて、あたし達目掛けて発射された。
「え…!なんでこっちに来てんの…!?」
「ひとまず今は逃げるぞ、ミライ!」
レンにガッシリと腰を掴まれ、銀色の翼をはためかせて、あたしが体験した事のないスピードでチャームから逃げる。
それでも、あたし達が逃げようとすればする程に、針のスピードも威力も増して、あたし達の後を追いかけてくる。
これじゃ、埒(らち)が空かないよ―――!!
ふと先程まで針が降り注いでいた、噴水の周辺に視線を移すと、チャームの標的が変わった事により人々は無事のようだ。
…よかった。
「レン、どうするつもり!?このままだったらレンの体力が奪われていくだけだよ!?」
「って言われても、今はこうやって逃げるしかないだろ!」
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