恐る恐る握った誉木の手は、指一本一本が細々としていて
これ以上強く握れば、ポキン―と、簡単に折れるんじゃないかと思った。
だから、そっと
指を絡めただけだった。
きっと気恥ずかしいのもあった。
僕は、中学時代に初めてできた彼女とデートしたときよりも緊張していた。
僕らは、ぶらぶらとウィンドウショッピングを楽しんだあと
ファーストフードで昼食を採った。
「こーゆうの初めてだから緊張してたけど…とても楽しいです!」
誉木はさらさらとした黒髪を躍らせながら、笑顔で言った。
「…そっか。ならよかった。
普通のデートって中一んとき以来だから、感覚忘れてたけど…楽しんでもらえたならよかった」
絡めただけのすぐにでも解けそうな指と手は
いつの間にかお互い強く絡め合い握りあっていた。
「そーいや、誉木。気になってたんだけどよ」
「何でしょう?」
「…敬語、やめねぇか?
タメ口で構わねぇからよ。てか、何で敬語なんだ?」
「母の教えです。殿方のお相手をするときは常に殿方を持ち上げ、敬うのが女の役目だと」
「……」
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