卒業式当日―
「玖瑠〜、寂しいなぁ」
「いや、俺は全然」
「酷い!常葉泣いちゃう!!」
「泣いとけ」
緊張感ってのがない奴だな。
誉木は友達と写真を撮ったりしていた。
「玖瑠くーん、写真撮ろっ」
カメラを片手に満面の笑みで駆け寄ってくる誉木。
「あぁ。常葉シャッターきって」
「おう」
写真を数枚撮ったあと、誉木と僕は鞄を取りに教室に戻った。
「あ、誉木」
「何?」
「机ん中、見てみ」
僕に言われた通り、誉木は机の中を覗き
小さな箱を取り出した。
「―……これ」
「……三年間、お前がくれた差し入れのお返し。
…つっても、これから一生かけて返していくつもりだけど」
誉木は涙を零しながら箱を開けた。
「…俺が専門学校卒業したら、結婚しよう」
「……はい…っ」
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