教科書で隠して
僕は誉木に口を塞がれた。
唇で。
何だ?
何が起きた?
そんなの考えるまでもない。
キスしてんだ。
俺
誉木と。
「……んっ……ん゛ーん゛ー!」
こいつ!!
長い!!
「…あっ、ごめんなさい!!」
「……や…大丈…ぶ」
「…あの…えっと」
「…大胆なことすんなよ……期待するから……」
僕は息を整えて、誉木の方を見ずに言った。
「期待されることを…期待してやったの…」
聞こえないふりなんて、無理だった。
教科書を見るために、僕らの机はピッタリくっつけられている。
ヒソヒソ話でもハッキリ聞こえる距離だ。
「わたし、まだ好きだよ」
「…俺だって……好きだよ」
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