バイクに乗って校門で待っていると、常葉が走って来た。


「やっほ〜、玖瑠っ!久々ぁ」

「何だ常葉、お前来てたのか」

「親友の彼女がどんな女なのか、この目で確かめたくってさぁ」



常葉はニヤニヤしながら言った。


「で、確かめれたのかよ」

「超美人じゃんっ!!
お前の彼女ってっから、パッ金女想像してたけど…ありだわ!」



やたらとテンションの高くなる常葉。


その背中越しに、鞄を抱きしめて走ってくる誉木が見えた。




「誉木!」

「摺月くん!!」



ふわふわと揺れる黒髪

キラキラと輝く黒い瞳

嬉しそうな誉木の笑顔

















これでいいと思っていた。







これが幸せだった。














僕は気付かなかった。














木曜日以外





午後、僕が誉木を守ることは出来なかった。











それに気付いたときは




遅すぎた。











気付かないうちに




僕は誉木を傷つけていた。










.