僕たちが乗っているゴンドラが、てっぺんに差し掛かったとき
「摺月くん…」
誉木が口を開いた。
「……何?」
「好きです」
「……」
「今日一日でさらに摺月くんが好きになりました。
だからこそ改めて言います。
好きです」
まっすぐ、僕と向き合い
僕を見つめながら言い切った、誉木李。
「ありがとう」
「……摺月くん…?」
「俺も…好き」
気が付いたときには、視界が90度回転していた。
倒れたんだ。
僕が。
体調不良でもなく
ゴンドラが揺れたからでもない。
犯人は誉木李。
僕よりずっと小さい癖して
腕なんか折れそうなくらい細い癖して
体重だって、僕の半分ほどしかなさそうなくらい軽いのに…
この女。
僕を押し倒して唇を奪いやがった。
大人しそうな見た目して、やってくれる。
だから、仕返しに
ゴンドラが地上に着くまで
いやというほどキスの雨を降らしてやった。